EAPの現場から ~人事担当者のお悩み相談~第10回:オンサイトカウンセリング活用法

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「オンサイトカウンセリング」というサービスをご存知でしょうか。外部EAPのカウンセラーがご契約先の企業に一室をお借りして面談(カウンセリング)することにより,心の健康をサポートするサービスです。外部の相談機関まで面談を受けに行くは抵抗があるけれど,会社に来てくれるなら予約してみようかという方には,利用しやすいサービスです。 一方で,知らない人(外部カウンセラー)には話しにくい,また社内であるがゆえに,利用が他の社員の目に留まりやすいから使いにくいといった声もお聴きします。

セルフリファーとマネジメントリファー

様々な企業のメンタルヘルス施策のなかでも面談は個別性の高い支援といえるでしょう。
オンサイトカウンセリングには相談の内容により,いくつかの種類があります。従業員本人が自主的に自身の問題を相談するために訪れるセルフリファーと,人事担当者や管理者が心配な従業員・部下に面談を促すマネジメントリファーです。
セルフリファーはお困りのご本人が面談を希望するわけですから,特に支障はありませんが,マネジメントリファーは本人が問題や困りごとを自覚していないケースがあります。「(カウンセリングに)行けと言われたので予約したのですが,何をするのですか?」という方もいらっしゃいます。その際は事前に管理者や人事担当者が当事者の何を心配して面談を促したのかを確認しておき,本人にお伝えすることからカウンセリングが始まります。
また,管理者が心配な部下への対応を相談するケースもあり,これは「オンサイトコンサルテーション」と呼んでいます。心配な従業員がいるなら,本人が直接カウンセリングを受ければいいと思われるかもしれませんが,管理者による不調者の早期発見・対処が大切なことから,管理者の支援もEAPサービスでは重要視しています。一方で,管理者が「よく分からないけどカウンセリングに送っておけ」と,悪くいう「丸投げ」で活用しようとすると,それは,管理者育成の妨げにもなるので要注意でしょう。

有効に機能させるための人事サイドの施策ポイント

次に,オンサイトカウンセリングを利用しやすくするためのポイントをご紹介します。面談利用が少ない・しにくい原因として,次の5つのことが考えられます。

①窓口を知らない・利用方法が分からない
②面談したことで不利益な扱いを受けるかもしれないと不安,話したことがすべて人事・上司に報告されるのではないかと不安
③面談に行くところを他の従業員に見られたくない
④面談を対応する人が誰だか分からないから不安
⑤どんな相談をしていいのか分からない

上記の①は,面談の機会を設けても,存在を知らなければ使いようがありません。まずは周知が大切です。メール・イントラネット,ポスター,社内報などで複数回周知する必要があります。その際は利用方法をお知らせするだけでなく,②③の原因を取り除くためにも,プライバシーは守られること,人事考課には影響のないことをきちんとお知らせする必要があります。参考までにメールでの周知例を図表にご紹介します。
②③④については,周知の方法として,カウンセラーが社内報で相談事例を本人が特定できないように改変してお伝えするようなコラムを書いたり,社員が集まる場で告知,自己紹介をさせていただくなどして,相談への抵抗感を下げる試みをしている企業があります。また,別の企業ではオンサイトカウンセリングの前に1時間程度の心理学講座を企画し,担当カウンセラーが講師となって基礎知識を学ぶ機会を作っています。社員の皆さんに知識を習得いただくと同時に,カウンセラーを知ってもらう機会にもなっており,面談予約およびメンタルヘルスの意識向上につなげているようです。
最初に管理職全員にカウンセリングを受けてもらうという周知方法も考えられます。また,心理相談だけでなく,健診時期に保健師による健康相談,管理栄養士による食事・栄養相談を実施し,個別面談を社内に定着させる方法でオンサイトカウンセリングを軌道に乗せている企業もあります。
⑤については“この程度の症状でカウンセリングを受けるべき?いや,もっと具合が悪くなってから頼むものだろう”と考えてしまう方がいるかもしれません。人の悩みには様々な種類があります。悩みが高じれば心身に影響を及ぼします。具合が悪い,と感じるときは既に医療機関への受診が必要な状態かもしれません。もちろん,そうした状態をアセスメントし,受診をお勧めするのも役割の1つですが,いわゆる「ガス抜き,毒出し」でも予防効果はあります。カウンセラーには守秘義務がありますので,社内では言えないようなことをお話しいただいても秘密が漏れることはありません。言えなかったことを吐き出すとすっきりするものです。これをカタルシス(浄化)といいます。

誰かに話すだけでも状況は整理される

社員の皆さんのなかには「私の問題はカウンセラーに相談したからといって解決しない」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。確
かにすべてのご相談を解決できるわけではありません。上司や取引先が嫌いだからといって担当を替える力はありませんし,苦手な仕事をなくすこともできません。それでも問題整理のガイド役はできます。カウンセリングでは,相手に状況を説明していくなかで,ご本人の頭が整理され,自ら解決方法が見えてくることがあります。
つまり,他者(カウンセラー)に状況を理解させるためには(例えば時系列を追うなど)分かりやすく話を整理するプロセスが伴います。こうした伝えるための努力をしていると,十分悩んだはずの問題をもう一度客観的に捉え直すこともでき,その結果どう考えたらよいかが自身で見えてくることもあります。問題整理のガイド役とはそうしたお手伝いを指します。

大谷 裕(おおたにゆたか)
㈱保健同人社 EAPグループ・臨床心理士・シニア産業カウンセラー。大学卒業後,スポーツメーカーに10年間勤務。退職後,大学院で心理学を学び修士号を取得し,現職。EAPコンサルタントとして,企業の「人財」を活かすための支援に従事。研修開発・講師としても全国で活動中。

(月刊『人事マネジメント』2012年9月号より)

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