EAPコンサルタントのコラム2011年11月(vol.25):「ストレスコーピング」の活かし方とは?

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「ストレスコーピング」の活かし方とは?

「コーピング」という言葉、最近はよく耳にするのではないかと思います。今回は整理して理解いただけるよう紹介しておりますので、ぜひお読みください。
先日、ある会社で以下のような相談がありました。

事例
Aさんは、30代の男性で入社10年目、営業企画の仕事をしています。最近、仕事の量が増え、残業をしても、休日出勤をしても間に合わないくらいになっています。
Aさんは、「なんとか自分でこなそう」と、できる限りの努力をしていました。仕事量をコントロールするために、すすめ方を工夫したそうです。
しかし、次から次に仕事が依頼され、前の仕事を終わらせることができないうちに、次の仕事が入ってきてしまいます。もう、何から手をつけてよいかわからないし、他のメンバーたちも忙しくしているので、手伝ってもらうこともできません。家に帰っても仕事のことが頭から離れず、朝はだいぶ早く起きてしまう状況が続いています。

このAさんの状況を「ストレスコーピング」の考え方をもとに整理してみましょう。
Aさんは「何から手をつけてよいかわからない」「家に帰っても仕事のことが頭から離れない」「朝だいぶ早く起きてしまう」というように、問題が解決されない状態が続いた結果、ストレス反応が現れていることがわかります。

Aさんは、ストレスコーピングを実践していなかったのでしょうか?

実は、一概にそうとはいえません。

ストレスコーピング「問題解決型」と「情動対処型」

ストレスコーピングは大きく分けると、「問題解決型」と「情動対処型」の2つに分けることができます(以下の表を参照)。


内容 具体例
問題解決型コーピング 積極的な問題解決 原因を調べ解決しようとする、計画を立てて実行する
問題解決のための相談 信頼できる人に解決策を相談する
情動対処型コーピング 行動、感情のコントロール 何か気持ちが落ち着くことをする
問題との距離をとる 問題を先送りにする
受け入れ どうすることもできず、状況に身を任せる

Aさんのケースでは、ストレスの原因=「業務量」です。Aさんは、もっと仕事を効率化する方法があるはずと考え、具体的に計画し実行しました。つまり、「原因を考え、計画を立てて実行する」という問題解決型コーピングを実践しています。

おそらくAさんは、これまでも積極的な問題解決コーピングを実践することで、解決に結びついた経験があったのでしょう。Aさんに限らず多くの人は、自身の成功体験をもとに、同じ方法で対処しようとしてしまいます。しかしこれは、ちょっとした落とし穴でもあります。

図

うまくストレスの元に対処できると、確かにそれは自信や満足感、自身の成長へとつながります。しかし一方で、得意と思っていた方法でうまく対処できないと「自分は何をやってもだめなんだ」と自信をなくしてしまい、うつ状態や不安、睡眠の問題といった心身のストレス反応につながる可能性もある・・・、このことは常に、頭に置いておく必要があります(右図)。

実際に、「積極的な問題解決」コーピングを使って行き詰ってしまったとき、思い切って他のコーピングを使うことが有効な場合があります。そうすることで、それまで自分だけでは気づかなかった点に気づくということも多いです。
コーピングの具体例をいくつか挙げます。情動対処型のコーピングとして、軽い運動をしたり、お風呂にゆっくりとつかったりするなどをして、心身のリフレッシュをすることで、イライラした気持ちを落ち着けることができます。また、もう少し「問題との距離をとる」コーピングを試してみるのも有効です。問題解決を急がないことで、もう少し楽に仕事ができるようになるかもしれません。

ただし、これらのコーピングも、ずっと同じものを使っていると、状況にうまく対処できなくなってしまいます。

さて、その後のAさんについて。Aさんは情動対処型のコーピングを週末に行うことにより、少し気持ちに余裕を持つことができるようになりました。翌週。上司に現状について相談する時間を取ってもらいました。その中で滞っている業務の優先順位、融通してもらえる納期の業務、他のメンバーの方が効率的に処理できる業務は担当替えをしてもらうなど、対応を取ってもらえることになりました。

これは問題解決型コーピングを実施したことになります。週末に少しでもリフレッシュできたことで、いつもとは違うコーピングをしようという発想になれたのでしょう。

ポイントは1つのコーピングにこだわらない

困ったとき、「うまくいかないな」、「ストレスがたまったな」と感じたときには、いつもと違うコーピングを実践してみてください。

コーピング方法を「多く」知り、身に着け、実践することで、その後の状況は変わります。ストレス反応になってしまうか、自信や成功体験、成長につながるかはそのコーピングをうまく組み合わせて使えたか、状況に合ったコーピングを使えたかで決まってきます。
いざというときに実践するには、日常の場面から意識していくことが重要です。

ストレスを上手に対処して心身ともに健康的な生活をおくりましょう。

(参照文献)
島津明人,島津美由紀.自分でできるストレスマネジメント,培風館,2008

(2011/11/07)

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