EAPコンサルタントのコラム2014年4月(vol.51):人事にとってのダイバーシティという課題~セクハラの観点から

 

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人事にとってのダイバーシティという課題~セクハラの観点から

人事にとってのダイバーシティという課題

非正規従業員、女性・シニア層の活用、障害者雇用など、様々な人材をいかに活用していくかが求められる時代になりました。これらが課題となる時に外せない視点が、年代や性別、企業によっては国籍なども含めた多様性の受容、いわゆるダイバーシティです。今回のコラムでは、その中でも、特に“ジェンダー(=いわゆる男らしさ、女らしさなどの社会的・文化的につくられた性差、性別意識)”について考えます。

セクハラの定義が変わってきている

先日、企業のセクシャルハラスメント(以下、セクハラと略)相談担当者を対象としたセミナーを実施した時のことです。セミナーの内容は、セクハラの定義や事例、相談担当者の役割や心得の説明、そしてロールプレイによる相談対応の実技でした。
セミナー中、ある参加者の方からこんな質問がありました。

“なぜ基本的な「定義」を、わざわざ「相談担当者」があらためて触れる必要があるのでしょうか?”

確かに、男女雇用機会均等法で定められている定義については、皆さん理解されていると思います。ただ、その定義が何度も変更されているのはご存知でしたでしょうか。そして、この定義の変遷こそが、ジェンダーを考える時に、とても重要になるのです。

同性へのセクハラが法律で明示される

平成26年7月1日から施行される改正男女雇用機会均等法では、「職場におけるセクハラには、同性に対するものも含まれるものであること」が明示されています。実は、平成19年4月1日施行の改正では、「男性へのセクハラも含まれること」が明示されています。もともとのセクハラの定義の解釈としては、男性⇒女性、女性⇒男性、女性⇒女性、男性⇒男性が想定されていたにも関わらず、改めて説明しているのです。これは、公の相談窓口で同性間のセクハラが持ち込まれるケースが多発したため、今回の指針に明記されたという背景があります。
実際、いろいろな企業の人事ご担当者とお話をしている中で、「セクハラのアンケートをとったが、被害者の中に男性も一人いたんです」と半分笑いながら語る方、「同性のセクハラって全く想像つかないんですけど」と困惑される方等、反応は様々です。
また実際のご相談では「同性の人からセクハラされた。でも社内の同僚や上司に相談したのに、みんな取り合ってくれなかった。公的機関に行こうと思ったが、結局自分が不利になるのではないかと思って」、「女性上司からしつこく誘いがあって困っているんです。でも社内の先輩に相談したら『モテるね~』とちゃかされてしまって・・・もうそれ以上、社内にはだれにも言えないと思いました」といったものもあります。

男性被害者や同性間のセクハラ被害者がSOSしにくい環境ではないか?

背景には、個人の価値観が関係していることがあります。つまり個人が無意識に持つ男(女)とはこういうもの、というジェンダーの意識です。
特にセクハラ被害に関しては、起きた出来事そのものの対処はもちろん大事ですが、相談を受ける側の価値観が、被害を受けた社員の相談へのハードルも高くする場合があります。 皆さんの職場では、男性被害者や同性間のセクハラもSOSが出しやすい環境が整っていますか。
頭では分かっていても、私たちの価値観に、「男らしさ」「女らしさ」についてが根深く残っているということはないでしょうか。

セミナーでのその後

セミナーの後半には、「相談窓口担当者には相談者に対し、“支持的”かつ“中立”であることが求められるけれど、中立って難しいねえ」という話題になりました。
我々が無意識に持っている価値観は意外と強敵です。「中立」で対応するためには、一度、無意識の価値観と向き合うことが必要です。
しかし、強敵を乗り越えたその先には、組織にとって優秀な人材が活躍できる土台づくりが可能になるのではないでしょうか。

組織ぐるみで無意識の価値観と向き合うための一つの方法として、ハラスメント研修の事例検討やディスカッションもあげられます。柔軟な価値観を浸透させるために、研修講師として人事ご担当者の皆様を今後もサポートしていきたいと思います。

(2014/04/15)

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