EAPコンサルタントのコラム2014年7月(vol.54):就職支援の現場からみた若手世代

 

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就職支援の現場からみた若手世代

大学教育の現場でみた若手世代

保健同人社に入社する前、私は大学教育の現場で、学生の就職支援に携わっていました。
就職相談の現場では、次のような学生の声を数多く聞きました。
「面接などで、これまでの自分を語れと言われた。しかし、目的意識をもって取り組んだ経験がない」
「志望動機や将来展望を質問された。しかし、自分でもやりたいことが分からない」
「選考で、企業の人と積極的に話さなければならない。しかし、そもそも知らない人と話したことがあまりない」
そんな状況に対し、自分はどうしたらいいのかという悩みや戸惑いです。

自分を語れない若者の辛さ

このような悩みは、単純に本人たちの個人的性格の問題なのでしょうか? 私は違うと思います。ご存じの通り、若い方たちは、高度経済成長期やバブル期を体験していません。今や頑張れば単純に報われるという時代ではなくなりました。しかも、現在は大学全入時代と呼ばれています。大学に入りやすくなったことが、入学時から目的意識をもって学生生活に取り組むことを難しくしているといえます。さらに、便利なサービスが世の中に溢れ、自分で創造力を働かせて、考え・やり抜いて達成する体験が少なくなっています。結果的に、このような複雑に絡み合う社会的要因によって「将来の目標(やりたいこと)」「主体的な自己」が語れなくなっているわけです。就職活動では、そのような自分自身の課題に突然向き合うことになります。

人とのコミュニケーションから生まれる成長機会の喪失

若い世代は人間関係にも大きな変化がありました。今は携帯やインターネット上でのやりとりが増え、直接会話する機会が少なくなっています。現実でも同質で気の合う仲間同士でいることが多く、あまり本音を明かしません。そのため、そもそも人への関わり方が分からず、他者との相違から自覚することが多い「自分らしさ」に気づきにくい状況があります。自分の意志や希望がはっきりしないなかで、失敗の可能性を抱えながら人とのコミュニケーションをしなければならないわけです。私は、若い世代にとって、積極的に人と関わることがいかに大変かを実感してきました。彼らは就職活動を通じて、自分とは質の異なる社会人との対話を、急激に求められていきます。

このように考えていくと就職活動は、若い人が苦手にしてきた課題と向き合うプロセスであったと感じます。そして、就職活動だけにとどまらず、就職して社会に出ることで、仕事上でより一層「主体的」、「意欲的」に取り組むことが求められていきます。人との関わりも確実に避けられないものになるわけです。一方で、企業側は、その若手を活用することが求められます。企業内では、この若手世代とのコミュニケーション不全が問題になっています。

新しい世代の人材開発

この問題の解決策として、私は本人の意思や主体性を引き出すコミュニケーションが重要になると思います。具体的には、管理職がもっと部下の「褒め方」「叱り方」を学ぶことが大事だと思います。「叱る」「褒める」は、いずれも本人のモチベーションや自主性を引き出すのに、大変役に立つコミュニケーションです。実際に、管理職の方からも、若い世代をどう叱ったらいいか、褒めたらいいのか分からないという声をよく聞きます。そこで、重要なのは、褒めた・叱った具体的内容を踏まえて、今後どうしたらいいのかを本人に尋ね、考えさせるということです。特に、若い世代は、安易に課題解決策の明示やアドバイスをすると、自分で考えるのをやめてしまいます。なぜなら、効率性を重要視する世代だからです。だからこそ、私は本人の自主性や考えた意見を尊重し、能動的に解決策を考える癖をつけさせることが大切だと考えています。そのためには管理職が、相手に考えさせる「質問をする力」を磨くことが大切です。

若い人たちへの大きな期待

「最近の若い人は・・・」という言葉をよく聞きます。しかし、私は時代によって人の質そのものが大きく下がりはしないと思います。下がったのではなく、周囲の環境によって発揮しにくくなっているに過ぎない場合が往々にしてあります。私は、若い世代には何より「変化する力」「伸びる力」があると思います。教育心理学では、人は期待されると本当に能力的にも伸びるといわれています。実際、私自身も可能性を信じ、接し方を変えることで、自主的に成長する学生を何人もみてきました。ですから、会社はこれからを担っていく若手たちの活躍のために、単純に自分とは違う特質の世代とレッテルを貼るのではなく、彼らの成長を期待してどう関わったらいいかを考えていただけたら幸いです。

(2014/07/23)

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