EAPコンサルタントのコラム2015年2月(vol.61):「没頭」のススメ

 

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「没頭」のススメ

私は月に3回、お茶の稽古に通っています。土曜日の午前10時という悪魔のような日程です。平日の5日間をそれなりに忙しく過ごし、金曜日の飲み会を楽しく終えた翌日なのに、ゆっくり眠ることはできません。眠い目をこすり、稽古に間に合うように起きるのは大変苦痛を感じます。ですが、稽古が終わった後はスッキリした気持ちで、清々しさすら感じます。なぜだろう? と考えた時に、答えが見えました。

“茶を点てる”は一つの没頭状態

お茶を点(た)てる作業は、使う道具や順序、所作が決まっています(お点前といいます)。また、自分のために点てるのではなく、たいていは誰かのためです。習いたての頃は、道具の名前もよくわからず、次に何をすればよいのか、一つひとつ教えてもらってはロボットのような動きでお茶を点てていました。その後、反復練習の中で、基本のお点前を習得し、身体が覚えていきました。その一連の流れの中で、「茶を点てる(それを美味しく飲んでいただく)」以外のことは一切考えていないということに気づきました。仕事のことは勿論、プライベートな雑多なこと、日頃悩んでいること・・何も考えません。茶を点てることに集中しているのです。

このような状態は、心理学でいう「FLOW(フロー)」状態と似ているようです。ミハイ・チクセントミハイ博士が提唱した「フロー」を意訳すると、『自分が行うことに対して、深く没頭し、意識が満たされている状態』であり、『最高レベルまで高められた集中力・意志力とともに、すべてが自分自身と渾然一体に感じられ、すべてを思い通りにコントロールできるという確信に満たされる状態の意識』です。
一流アスリートが、競技中、動きがスローモーションに見える、時間が止まったような感覚、と表現するのは、このフロー状態といえます。私が毎回の稽古で、最高レベルの集中力と意志力を発揮できているかというと言い過ぎですが、何かに熱中していて時間が経つのもすっかり忘れていた、という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

茶道のお点前にみるフロー状態の作り方

フロー状態は個人の意志によって自由に引き起こせるわけではないのですが、なりやすくなる条件があるようです。その条件は、

  1. 目的や内容が明確
  2. 難しさと、技量・能力のバランスがつり合っている
  3. 行動を俯瞰し自己調整できる

です。茶道のお点前にも共通点を感じます。
また、心身の動きが一致していることにも大きな意味があると感じています。お茶のお点前は、もてなしのこころをもって、美味しく茶を点てることと同時に、決められた所作を自然体に美しく、全身で意識しながら行わなければなりません。こころとからだが同じ方向を向いている、いわゆる心身の状態がつり合っている、一体化している状態であることも、フロー状態の重要な要素なのではないでしょうか。

「没頭型趣味」のススメ

趣味というと幅は広く、「ランチ会や飲み会を開催する・カラオケに行く」といったような「発散する」趣味も勿論、楽しくステキな趣味ですが、あえてここでお伝えしたいのは、こころとからだが一体化するような「没頭できる趣味」をレパートリーのひとつに加えてみませんか、ということです。
例えば、書道や陶芸、生け花、ピアノなどの楽器の演奏、またはテレビゲームやプラモデル作りといったものも含まれるでしょう。写経なども近年では需要があるように見受けられ、没頭型趣味が人知れず求められているのかもしれません。
私自身、茶道歴としてはまだまだひよっ子ですが、自分のイメージ通りにでき、美味しいお茶(のジャッジは飲んだ方ですが・・)を点てることができた時には達成感や喜びを感じ、稽古の後は心が洗われたような感覚を得ることができます。この貴重な「没頭タイム」を持てることに感謝しつつ、眠い目をこすって、今週末も稽古に励みたいと思います。

(2015/02/16)

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