EAPコンサルタントのコラム2015年6月(vol.65):パワハラにならずに部下をやりこめる方法

 

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パワハラにならずに部下をやりこめる方法ってないですか?

先日、某企業の管理職にハラスメント研修を実施した際、終了後に質問を受けました。「なんでもかんでもパワハラって言われているように感じて、部下指導がしにくいですよ」「なんでそこまで気を使わないといけないのか」というご意見でした。指導とパワハラは別です。しかし、グレー部分を含むので、難しく感じる方が多くいらっしゃるようです。

「職場のパワーハラスメント」とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されています。これは厚生労働省の『職場のいじめ・いやがらせ問題に関する円卓会議』で整理されたものです。
また、典型例を以下6つに類型化しています。

①暴行・障害 身体的な攻撃
②脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言 精神的な攻撃
③隔離・仲間外し・無視 人間関係からの切り離し
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害 過大な要求
⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと 過小な要求
⑥私的なことに過度に立ち入ること 個の侵害

職場のパワハラは、上司から部下に限ったものではなく、先輩・後輩・同僚間、部下から上司に対して行われるものもあります。

昔はパワハラなんて当たり前だった?

昔はパワハラなんて言葉はありませんでした。過去に上司から受けたことが今ではパワハラに当たることもあるでしょう。
「契約取れるまで帰ってくるな! この給料泥棒!」と怒鳴られた。
「上司の虫の居所が悪いと、灰皿が飛んできた」などなど。
思い出すだけで腹立たしく思うことがある一方で、そうした厳しい指導(?)のおかげで奮起し、「現在の自分がある」と、今では感謝しているところもある、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。過去の経験を踏まえ、自身が成長したという意識があれば、自分も部下に同じような指導をする、というのは自然な成り行きかもしれません。しかし、上記のような定義付けまでされている現代社会では、同じ方法を取ると処分の対象になってしまう可能性があります。熱血指導も状況次第、ということでしょうか。

パワハラにならずに部下をやりこめる方法

管理職は部下を教育指導し、成長を促すという役割を持っています。しかし、熱意ある管理職の気持ちを全く理解しない自由気ままな部下がいるのであれば、熱血指導をしてでも、と思われる気持ちはわからないでもありません。あえてパワハラにならずに部下をやりこめる方法を考えてみたいと思います。

例えば、毎朝数分の遅刻をしてくる部下Aがいます。Aは出社だけではなく、社内会議にも遅れてくるし、提出物の期限も守らないような、時間や納期にルーズな人物です。管理職のあなただけでなく、同僚もたまに注意はしていますが、本人はあまり意に介していないようです。改まる様子はありません。
あなたは、怒鳴りつけて人格否定するなどの、先の定義に当てはまる言動は一切NGです。そして、冷静に、合理的に、就業開始時間や会議時間、提出物の期限を守っていないことを指摘・指導します。一度で行動が改まるような部下なら、そもそもやりこめたいとまでは思わないと推測されますので、Aは行動を改めません。これを毎日、頻度高く繰り返すのです。相手がうんざりしても、反抗的態度を取っても管理職であるあなたは冷静に、合理的に指導・指摘を続けます。加えて指導事項、日時を全て記録に残し、業務改善命令書を作成し、面談を実施します。それでも改善が見られなければ評価を下げます。これを延々と続けます。仮に改善が見られたとしたら、他の業務に関し、至らない点を全て探し出し、同様に延々と繰り返すのです。

Aは自分が至らないにもかかわらず、自分だけが標的にされ、重箱の隅をつつくような陰険なやり方で責められていると感じ、「これはいじめだ、パワハラだ。」と訴えを起こすかもしれません。そこであなたはAだけでなく、部下全員に対して出社時刻、会議出席時刻、書類提出期限その他もろもろ、全て記録に残します。更に「あなただってできていない」という指摘を生む元になりますので、ご自身も遅刻はおろか、会議出席、各種書類の提出期限を全て守ります。他の業務に関しても、日々見直し、改善努力を続けます。

いかがでしょうか。そもそも部下を「やりこめる」こと自体、パワハラの可能性を秘めており、お勧めするものではありませんが、仮にやりこめる方法があるとしたら、①定義に当てはまるような言動はせず冷静、合理的に指摘・指導し続ける、②部下全員への同様の対応、③ご自身が実践できていること、 を備えている必要があると私は考えました。
多少しつこいところを除けば、自律した管理職が本来目指す姿勢ではないかとも思います。ご参考にしていただければ幸いです。

(2015/06/19)

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