EAPコンサルタントのコラム2015年9月(vol.68):笑いと涙のストレス対処術①「笑活のススメ」

 

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笑いと涙のストレス対処術①「笑活のススメ」

満員電車での怪我を笑う

以前、私は通勤中の満員電車で、全治一か月の怪我を負いました。

原因は、駆け込み乗車で、ドアに滑り込んできた巨体の男性。
ドアが閉まる瞬間に、体格から想像もつかない勢いで滑り込み、思いっきり右足を踏まれました。大きな声で「痛い!!」と叫びましたが、相手は一言も謝らず。
さらに悪いことに、私の足は赤く腫れあがり、私は怒りと悲しさでいっぱいでした。
職場で私は、この不幸を周りに笑い話として話しました。どうせなら、会話のネタにしようと思ったのです。すると、思いのほか笑ったことが気持ちの切り替えに役立ちました。

笑いの多い家庭や職場。
そういった場面を目にすると、そこにはストレスが少ないと感じることはないでしょうか? 笑顔が絶えない人の周りには、邪悪な気が寄ってこない。そんな気さえしてきます。
では、実際に、「笑い」には、ストレスに対してどのような効果があるのでしょうか?

「笑い」が体にもたらす効果

実は、笑うこと自体に、ストレスの値を下げる効果があるといわれています。このような作用は、笑いの鎮痛作用やリラックス効果にあり、具体的にはストレスホルモンであるコルチゾールを減少させるといわれています。ストレスが少ないため、笑いが起こりやすい場合も勿論あるでしょうが、このように笑いには、逆にストレスがあっても発散させるパワーがあります。満員電車での私の怒りや悲しみも、この効果によって落ち着いたのだと考えられます。

その他にも、笑いには、ナチュラルキラー細胞の活性化により、免疫力を高めたりする効果があるといわれています。私の知り合いの看護師は、「お笑い療法士」という民間の資格を取って、笑いを難病患者の自己治癒力の向上に活かそうとしています。つまり、笑うことは心だけでなく、さらに体にもよい効果があるということです。

笑顔があなたに、さらなる笑いをもたらす

ここで心理学の面白い実験を一つご紹介します。ストラックら(1988)が行った実験で、口にペンをくわえて、笑い顔を作って漫画をみる被験者群と、笑わないように口を閉じて漫画をみた群で漫画の感想を比べました。その結果、ペンをくわえた群のほうが漫画を面白いと評定しています。
この実験結果では、笑い顔を作ることが、面白いという肯定的な感情を強めていると考えられています。
実際、私も担当していた心理学の授業で、学生たちにこれと同じことを試みたことがあります。具体的には、学生の口に割り箸をくわえてもらって笑顔を人工的に作り、お笑いDVDをみせるというものです。結果は、どっと笑いがおき、大いに授業が盛り上がったのを思い出します。
このように人間は「面白い(愉快だ)から笑う」のは勿論のこと、「笑うことでより面白い(愉快だ)」と感じる性質も持っています。つまり、日頃から笑顔を心がけることが、新たな笑いを起こし、ストレスを下げることに繋がるわけです。

もし、今のあなたに笑うだけの気力があるなら、笑顔を意識して大いに笑いましょう。お笑いライブをみる、楽しい人とご飯を食べに行く、面白いことをリストアップして思いだし笑いをするなど。身近なところに、あなたの気持ちを解放させてくれる、そんなストレス発散方法が隠れているのかもしれません。

どうしても笑えないときはどうしたらいいのか

「無理やりは笑えない」「もう泣くしかない気分」。そんなときは、思いっきり泣くのも手です。実は、「泣く」こともストレス解消に有効だといわれています。次回はこの泣くストレス解消方法について取り上げてみたいと思います。

<参考文献>
Randolph R. Cornelius(著), 齋藤 勇(監訳)(1999)
『感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか』誠信書房
鈴木 直人(編)(2007)「朝倉心理学講座10 感情心理学」 朝倉書店

(2015/09/30)

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