EAPコンサルタントのコラム2017年5月(vol.88):見逃していませんか、本当は怖い受動喫煙
~オリンピックを健康の祭典に!~

 

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 最近、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙対策の強化を!」という話をよく耳にします。保健指導の現場でも、たばこがやめられないという相談を受けることが多いのですが、自分の健康は気になっても、他人への影響まで意識している人はまだ少ないようです。たばこを吸わない方にとって、たばこの煙や臭いは、ランチのお店で、仕事帰りの居酒屋で、また、休憩時間後のエレベータ-の中でも気になるもの。まずは受動喫煙の害を、一人ひとりがきちんと知ることが、私たちにできる対策の第一歩です。

オリンピックと受動喫煙防止の強化

 2010年、世界保健機関と国際オリンピック委員会との間で健康的な生活習慣を推進する同意書が交わされました。オリンピックはスポーツの祭典ですが、健康の祭典でもあるべきとの考えから、「タバコのないオリンピック大会」を開催することが盛り込まれています。

 それまでのオリンピック開催時にはあまり気にしていなかったのですが、2016年のリオ・デ・ジャネイロ大会でも、屋内は全て禁煙でした。受動喫煙対策では、日本は世界でも「最低レベル」とされています。2020年に開催されるオリンピックで世界中から来る人々が安心して過ごせるためにも、受動喫煙の防止強化が迫られているのです。

日本の現状

 日本では歩きたばこなど、屋外の喫煙は自治体が条例で禁じている例も多いのですが、より受動喫煙の起こりやすい屋内の法規制が進んでいません。これまでも健康増進法や労働安全衛生法の改正で受動喫煙の防止対策が進められてきましたが、あくまで「努力義務」でした。今でも、分煙室が設置されていないカフェで、たばこを吸う人と隣り合わせになることがあります。 

 「日本では年間に1万5,000人が受動喫煙により死亡している」という推計が発表されています。これは、交通事故による年間死亡者数約4,000人の4倍近くに相当します。自分がたばこを吸っているわけでもないのに……こんなに多くの方が亡くなっているのです。

知っておこう!受動喫煙の害

 改めて説明すると、「受動喫煙」とは自分がたばこに火をつけて吸うのではなく、他人の吸っているたばこの煙を間接的に吸ってしまうことです。受動喫煙で吸ってしまう煙には下記の2種類があります。

  • 副流煙:たばこから立ち上る煙
  • 呼出煙:喫煙者が吐き出す煙

※主流煙:喫煙する人が吸い口から吸い込んだ煙

 たばこの煙(主流煙、副流煙、呼出煙)には約4000種類の化学物質が含まれ、その中にはニコチンやタールなど約200種類の有害物質、60種類以上の発がん物質が存在します。喫煙に関しては、がんや呼吸器疾患をはじめ、22の疾患・病態との因果関係が「確実」とされています。加えて、受動喫煙でも、肺がんや心筋梗塞、乳幼児突然死症候群など7つの疾患・病態との関係が「確実」です。

 本人が吸わなくてもヘビースモーカーの夫をもつ女性では、肺がんによる死亡のリスクが約2倍になるという報告もあります。また、主流煙・副流煙とも、実際にたばこから排出される成分を捉えて測定した場合、主流煙ではたばこのパッケージの表示値に非常に近い値だったものの、副流煙ではニコチンが約4倍、タールが約2倍となったという測定結果があります。自分がたばこを吸っているわけでもないのに……予期せぬ健康被害を受けているのです。

受動喫煙は防止できない!換気扇の下・ベランダ・喫煙室等での喫煙

 家族に気を使って、換気扇の下でたばこを吸っている方もいるのではないかと思います。換気扇の下でたばこを吸っても、キッチンやリビングにたばこの有害物質が流れるため、完全な分煙にはなりません。また、有害物質は呼気から5分間は放出されますので、マンションのベランダや庭、家から遠く離れた屋外、そして喫煙室でたばこを吸っても、すぐに家の中や仕事場に戻れば、家族や職場の仲間に受動喫煙をさせてしまいます。

 このほか、たばこの煙に含まれる物質が、喫煙者の髪の毛・衣類・カーテン・絨毯などに付着、揮発したものが汚染源となって、第三者がタバコの有害物質に暴露されることがあります。これを「三次喫煙(サードハンドスモーク)」といいます。

 親が喫煙する子どもは、親が喫煙しない子どもに比べ、小児期の過体重の割合や肥満率が高いこと、尿に含まれるニコチン量が多いなどの調査結果もあります。気を付けているだけでは、周りへの影響を防げないのです。

受動喫煙の害を知ることで対策を

 喫煙による広範囲に及ぶ健康の害が知られるようになり、個人への禁煙支援や、禁煙環境の整備が一層進められてきていますが、依然として喫煙者の健康管理が大きな目的となっていることに変わりありません。しかし、自分ではたばこを吸わない人の受動喫煙による健康被害も、決して見逃してはならないものです。

 これからのたばこ対策では、もっと受動喫煙の害を知ってもらうことが大切だと考えます。なかなか禁煙できない人は、ちょっと周りを見回して、家族や職場の仲間の顔を思い浮かべてみてください。その人たちに健康被害を与えていると考えるとどうでしょう。一方、企業としては、今行っていることが本当に受動喫煙を防止できる環境・対策になっているか、もう一度見直す必要があると思います。たばこを吸った後、すぐに会議が始まる環境ではありませんか。

・・・従業員とその家族の笑顔のために、STOP!! 受動喫煙

(2017/5/14)

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