2009年08月(vol.02):睡眠と生産性

他のコラムを見る

 

睡眠と生産性

寝苦しい夏の夜、輾転反側してなかなか眠れず、翌日は会社に行っても頭がボーっとして仕事に集中できない―誰でも経験のあることですね。

人間は、まったく寝ないでいられるのは2~3日が限界と考えられています。睡眠不足では集中力が低下し、またイライラも強くなるため、仕事の生産性の低下につながります。逆に、ストレス反応やメンタルヘルス不全の初期症状としても、真っ先に出現しやすいのが睡眠の障害です。なかなか寝付けない、寝ても何度も目が覚めてしまう、ぐっすり寝た気がしない、などです。こうして考えてみると、よい睡眠がとれているかどうかは、元気で働ける、いわば健康のバロメーターといえるでしょう。

少し前に、人事部からの紹介で来談されたクライエントさん(30代、男性)がいました。

「現在休職中だが、学生の頃から睡眠障害で悩んでいる。就職してからも、調子のよいときと悪いときの波が激しく、睡眠障害がひどくなると昼夜逆転して、欠勤が増えてしまう。医者にはこれまで複数かかったが、何種類も薬を処方されているにもかかわらず薬が効かない。今回、休職中だが今後のことを考えて、生活リズムを整えたい」という相談でした。

結果からいうと、この方は双極性障害だったのですが、これまであちこちの医者で間違った診断と処方をされ、あわない薬を大量にのんでいたのでした。本人も睡眠障害と思って長く苦しみ、また車で事故をおこすなど命にかかわることでした。

このように、睡眠がうまくとれず、結果的に仕事もうまくいかず苦しんで相談にこられる人は大勢いらっしゃいます。

睡眠といえば、航空機のパイロットやキャビンアテンダントとして国際線を飛んでいる人たちは、常に時差を体験しています。身体的にはもちろんですが、精神的にもかなりのストレスを常日頃体験していることになります。

睡眠に関する研究によると、時差を経た後、つまり旅行をして到着地に着いた後、最初に寝たときに、もともとの居住地での睡眠パターンと同じパターンで眠れる人と、睡眠パターンが障害される人とがいることがわかっているそうです。就寝したら常に同じパターンで眠れる人が、時差に強い人、パターンが崩れる人は時差になかなか慣れない人、ということになります。時差への順応には、個人差があるのですね。また、時差にいち早く慣れるには、到着地に着いたその日(第1日目)の睡眠を、いかに通常の自分の睡眠パターンでとれるかが「カギ」だそうです。

西回りと東回り(日本を出発点とすると、ヨーロッパ方面に行くのが西回り、アメリカ方合衆国方面に行くのが東回りです)を比べると、西回りの方が到着当日の睡眠の質はよいそうです。アメリカ旅行をするときは、行きはつらいが帰りは楽だ、ということですね。

アテネオリンピックのとき、日本の選手たちは西回りの遠征になるため、例えばアトランタオリンピックなど東回りのときより現地に早く慣れることができて、よい成績が期待できる、などという話もありました。

先にあげた国際線のパイロットやキャビンアテンダントの人たちは、時差に弱くては仕事が勤まりませんから、常日頃自分の睡眠パターンを保つ工夫をそれぞれにしていることでしょう。

そこで、安眠法のポイントです。第一に、部屋を暗くすること、第二にできるだけ静かな環境にすることです。人間の体内時計(リズム)は約25時間周期になっていて、実際の24時間より1時間長いのですが、それでも睡眠時間が1時間ずつ後にずれていかないのは、朝の光を浴びることによって体内時計がリセットされるからです。逆に夜間に強い光をあびると眠気が出現する時間がずれてしまうのです。睡眠中は、光だけでなく音にも私たちは敏感に反応するので、音楽やテレビをつけっぱなしにしない、携帯電話をもちこまない、など静かな環境を心がけることも大切です。さらに、睡眠リズムを保つためには毎日決まった時間に起床し、決まった時間に布団に入るという規則正しい生活がのぞましいのです。

就寝時間の2~3時間前に、ウォーキングや体操などの軽い運動を行ったり、ぬるめのお湯につかったりして、‘軽く’体温を上げておくことも、心地よく眠りに入るには効果的です(激しい運動や熱いお風呂は逆効果です!)。

お酒を飲むと眠くなりますが、アルコールの飲みすぎによる睡眠は浅く、一度目覚めると目が冴えてしまいがちです。良質の睡眠とは言えません。就寝前にアルコールを飲むのは控えましょう!!

最後に、「よい睡眠」とはどんな睡眠を指すのでしょう―良質な睡眠の定義は「日中、元気よく活動できる」だそうです。よい睡眠をとり、昼間元気に仕事をして、心地よく疲れて夜、またぐっすり眠る、これこそ好循環ですね。

(2009/08/17)

ページのトップへ

関連サービス
  • EAP
    従業員のこころとからだの健康をトータルで支え、よりよい職場づくりをサポートします
  • MOSIMO
    メンタルヘルス不調者が長期休職したときの企業のコストを試算するこができるツールです

ページのトップへ

ページ上部へ戻る