2010年3月(vol.08):セクハラ防止策はもう大丈夫。本当ですか?

他のコラムを見る

 

セクハラ防止策はもう大丈夫。本当ですか?

「セクハラについては、もう充分に理解しています。今度はパワハラについて講義をお願いします。」・・・最近では人事ご担当者様からこのようなご要望をお伺いすることが多くなりました。確かに、企業においてセクハラ防止体制は整いつつありますが、実際にセクハラが起こってしまった際の対応方法は手探りの企業が多いのが現状です。

今回は、セクハラ防止体制において迅速・適切に処理するための一次対応「相談」がいかに大切であるか、ふたつの事例を用いてご紹介します。

Aさんは、入社8年目の男性社員です。Aさんの上司Xさんは「軽い性的ジョークは一種のコミュニケーション。会話を円滑にするのでOK!」というセクハラ防止の観点からすると誤った考えの持ち主のようです。

例えば、部員が一生懸命書類を作成していると、「そんなに急いで仕事をして、もしかして今日はデート? 仕事に精が出ているね。」「そんなに外見ばかり気にしていても成績は伸びないよ。」等の発言を男女問わず投げかけたりします。実際のところ、Xさんのいないところでは「あれってセクハラだよね。」という意見が飛び交っていますが、Xさんの耳には入っていません。なので、Xさんとしては、部下たちが嫌がっているそぶりもみせないし、セクハラに敏感になりすぎて職場がギスギスした雰囲気になるよりはマシだ、という気持ちで独りよがりのコミュニケーションが続けられ、周囲はうんざりしている毎日です。

また、時にXさんは「これはセクハラじゃないぞ~!なっ、A!」となぜかAさんに同意を求めてくることもあり、Aさんはいつもどうしたものかと反応に困ってしまいます。こんな状況が続いてしまうと、周囲からAさんはXさんのセクハラ発言を容認していると勘違いされてしまうのではないかと、気を揉んでいるところです。

さて、皆さんがAさんの立場だったら、このような状況の時、どう対応されるでしょうか。上司に対し「それはセクハラに該当する可能性があるので控えた方がいいですよ。」と面と向かって自分の意見を伝えることができるでしょうか。

理想的ないい方は頭に浮かぶかもしれません。ただし、実際にそれを言えるかというと、コミュニケーションの難しさを感じる方も多いかもしれませんね。

その後のAさんを見てみましょう。

ある日、Aさんは勇気を振り絞りXさんに「プライベートのことに口出しするのは、お止めになった方がいいと思いますよ。」といってみました。Xさんが気を悪くしないように細心の注意を払い、タイミングなども見計らったうえでの進言でした。しかし、当のXさんは「なんだ。固いなぁ、Aは。そんなんじゃ全く冗談の通じない面白くないヤツと思われてしまうぞ。」と逆に注意を受けてしまいました。Aさんは、勇気を出して上司に自分の意見を言ってはみたものの、Xさんの言動に改善はみられず「この人には何を言っても無駄なのかな・・・。」と人間的な信頼もできにくくなってきています。

今度は、そんな上司Xさんの女性部下であるBさんに目を向けてみましょう。

Bさんはよく飲み会の席でXさんから「Bは腰回りが安産型でいい女なのに、どうして結婚相手が見つからないんだろうなぁ~!」と言われることがあります。それも1度や2度ではありません。

Bさんとしては、普段の仕事をすすめる上でXさんとの関係は良好なので、その発言に悪意は含まれていないことは分かっています。けれども、その発言を受ける度に何だか不快なモヤモヤとしたものを感じるのも事実です。とはいえ、その場でムスっとした対応をしてXさんの気を損ねてしまうのは避けたいし、今後の関係のことを思うと、いつも苦笑いでやり過ごすことしかできません。

最近では、そんな飲み会が終わった後の疲労感がひどく、嫌な気持ちを抑え込んで対応しなくてはならないことがストレスになってきています。本来は好きな飲み会も、参加が億劫になってきている状態です。

AさんとBさんが感じている共通の思い、それは「自分が我慢すれば、なんとかやり過ごせる。」というものです。このストレスで急速な心理的不調に陥ることは稀ですが、じわじわと心の健康な部分を蝕んでいくことは想像に難くないでしょう。セクハラで感じる不快感や違和感にも、心や体の健康と同じく早めの対処が肝心なのです。

ハラスメント相談を利用する相談者の中には、行為者に対して“何か処罰や注意をしてほしい”という思いを携えて相談を寄せられる方もいらっしゃいます。

その一方で、“大ごとになるのは避けたい。何とかしてこの苦しい状況を抜け出す方法があれば教えてほしい。”というお気持ちで相談を寄せられる方も多くいらっしゃいます。

相談員は、相談者のご意向を尊重し、考えや気持ちの整理をお手伝いしながらじっくりとお話を伺います。希望が前者の場合、一般的な組織的対応としては、委員会や担当者などが当事者や関係者にヒアリングをおこないます。経緯を検証し、事実関係の確認をしていく流れとなります。

相談者の希望が後者の場合は、まずはカウンセリングによって相談者が感じている不快感を吐き出してもらいます。普段抑圧している感情をありのままに話していくうちに、相談者自身が自分の力で問題に立ち向かう方法に気づいていくことが多くあります。

Aさんは社内の相談窓口を利用することにしました。そこでAさんは、相談員と話をするうちに「Xさんの発言を指摘するのを面倒くさがっている自分もいた。でも、やはりよくない言動だと思うので、もう一度きちんとXさんに伝えてみようと思う。」とご自分で解答をみつけられました。

Bさんは社外の相談窓口を使ってみました。相談員と話をしながらBさんは「Xさんから体形やプライベートのことを言われてもしょうがないと思っていた。言われて不快に思う気持ちにも、できるだけ気付かないふりをしていた。上司に意思表示をするのは失礼だと考えていたけど、伝えてもいいと分かっただけで大きな収穫です。」と感想を述べられました。また、「一度、自分で嫌な意思表示をしてみます。Xさんにいつ言えるかまだ分かりませんが、もうごまかさないでいいと分かったことで、だいぶ気持ちが軽くなりました。」とお話されました。

このように、小さなストレスのうちから誰かに相談ができる体制を整えておくことが肝心です。セクハラによるダメージが深刻化する前に社内外に相談できるシステムがあることで、迅速な対応が可能となり、事態が複雑に、対応困難になることの防止に大いに役立ちます。セクハラ未然防止のためには、意識が乏しい管理職に対して、まずは徹底的な研修を行うのがよいでしょう。併せて、全社員向けの研修も行い社内の健全化を計ることが大切です。

保健同人社ではハラスメント研修を実施しています。ハラスメントの対策をお考えの際は、ぜひ一度、弊社営業部までお問い合わせください。我々EAPコンサルタントが、皆様の企業でのストレス対策について、サポートさせていただきます。

(2010/03/11)

ページのトップへ

関連サービス
  • EAP
    従業員のこころとからだの健康をトータルで支え、よりよい職場づくりをサポートします
  • MOSIMO
    メンタルヘルス不調者が長期休職したときの企業のコストを試算するこができるツールです

ページのトップへ

ページ上部へ戻る