2011年1月(vol.17):それぞれの立場でみる職場復帰サポートのコツ

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それぞれの立場でみる職場復帰サポートのコツ

さて、皆様の周囲に、メンタルヘルス疾患による休職から職場復帰された方はいらっしゃいますか? 復帰のプロセスは滞りなくいきましたでしょうか?

私たちEAPコンサルタントのもとには、人事ご担当者様から職場復帰者および関係者の対応に苦慮されているというご相談がたくさん寄せられます。「スムースな職場復帰が難しい」「休職、復職を繰り返している人に復職させてよいか迷っている」「管理職がメンバーに何をどこまで伝えてよいかわからないと相談された」など、その内容はさまざまです。

なぜ、職場復帰時の対応が難しいと感じるのでしょうか? その理由の一つとして、「復帰に関わる人が多いこと」が挙げられます。今日は、職場復帰に関係する周囲の方それぞれの心配や悩みについて考え、その解決策について検討してみたいと思います。

それぞれの立場・役割による不安

職場復帰には、大別すると当事者であるご本人の他に、主治医など医療従事者、家族、そして会社関係者がいます。その関係者を「会社」に限定してみると、上司(管理・監督者)、復帰先職場のメンバー、人事担当者となり、関わる人の数は数十名単位になることも少なくありません。そして、それぞれの立場、役割の違いから、その行動や配慮が変わってくることはいうまでもありません。

まずは、上司の方々。ハラスメントなど顕著な問題がある場合を除き、職場復帰は「休職前と同じ職場への復帰」が原則とされています。休職者を仮にAさんとします。Aさんの上司は、休職前の状態、つまりパフォーマンスをあげていた頃からのAさんを知る人ということになります。不調になる前のAさんを知っているだけに、「最初はどんな仕事をさせればよいのか」「どこまで任せてよいのか」「どのくらい仕事を渡すと不調になるか」など、現場の管理監督者ならではの悩みが多く聞かれます。また、「以前と同じようなパフォーマンスを期待してもよいのか」などの期待と不安が入り混じった複雑な心境も見受けられます。

復帰先職場のメンバーにとっては、日々関係する最も近い存在としての緊張や遠慮、心配を抱えていることが多いようです。「今までと同じように声をかけてよいのだろうか」「軽口を叩いたらマズいだろうか」「Aさんの性格を考えると、頼っていいよと言っても頼ってくるとは思えない。無理している様子が見られたらどうしたらよいのか」とその心配もさまざま。メンバーの数だけ心配や不安があるといっても過言ではありません。

人事ご担当者様は、Aさんの対応だけでなく、Aさんが戻ってくることの職場の不安などを最小限に留めて、これまで通りに現場が機能するようサポートしなくてはなりません。そのご苦労もよく耳にします。Aさんには個人として関わり、職場との橋渡し的なコーディネートもしなければならないので、そのご苦労は多大だと思います。

不安から見えてくる、職場復帰のためのポイント

各立場からの懸念点、悩みを挙げてみましたが、こうしてみると、職場復帰を成功させるために最も重要なことの一つが、事前の職場コミュニケーションの調整といえます。復帰される前に、ご本人をはじめ、周囲の方々に、復帰の手順や復帰の際に気をつけることなどを共有しておくことが大切です。人は、わからないことに関して漠然とした不安を抱えやすいものです。それゆえに、事前に、「Aさんが職場に戻ってくることで、これから何がどうなるのか。どういう配慮が必要なのか」を皆で共有しておくことが、その不安や負担を少しでも軽減することにつながります。ここで最も注意することは、復帰者のプライバシーの保護です。罹患した病気についてどこまで周囲に伝えるかなどは、あらかじめご本人の了解を得ておくことが必須です。このプロセスを怠ると、ご本人のみならず周囲の関係者からも会社に不信感を抱くことにつながりかねません。その配慮があったうえで、具体的な心配ごとなどを共有し、解決できることは解決しておくことが大切です。保健同人社では、これを「心理教育/セッション」という形で実施しています。

さらに職場復帰の成功を左右するといわれる最も大切な時期は、復帰から6カ月間と言われています。職場復帰をしたご本人にとって、この最初の6カ月、無理をせず、きちんと自分の体調を見極めて管理をしていくことができれば、徐々に以前の状態に戻っていくと考えられます。ご本人にとって、焦りは禁物、周囲の皆様にとっては過剰な心配はご無用といったところでしょうか。

復帰するご本人が職場での自己管理をしやすくし、周囲のメンバーがご本人を受け入れる際の負担を最小限にするためには、事前に受け入れ職場の環境を調整していくことが重要なカギといえるでしょう。また、関係者の過剰な不安や猜疑心を払拭するためにも、事前に復帰するご本人の状態を可能な範囲で把握し、管理監督者とメンバー間では「必要な配慮」などについて共有する機会を持つなどが有効です。事前に職場でのコミュニケーションを十分にとり、相互理解をはかって環境を整えておくことが大切です。そして、前述のプライバシーの配慮を忘れずに対応することが、安心して働ける職場につながり、さらには再発防止にも寄与することになるのです。

(2011/01/31)

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