2011年4月(vol.19):突然起こる惨事、組織として行う心のケアは?

他のコラムを見る

 

突然起こる惨事、組織として行う心のケアは?

先月起こった東日本大震災から1カ月半経ちました。このたびの地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

地震のあったとき、私は偶然にも風邪をひいて家で寝ていたのですが、一人なすすべもなく揺れに身を任せるだけでした。テレビの画面に映しだされる現実とは思えない、映画のような光景に圧倒され、また、携帯電話はつながらず世界に一人取り残されたかのようで孤独の恐怖を味わいました。

このコラムをお読みいただいている皆様もそれぞれ違ったかたちで、通信と交通機関の混乱、計画停電、放射能の不安など、通常ではない状況をご経験されたことと思います。今回のコラムでは、震災後に起こりやすい個人のストレス反応と、それに対して組織として何ができるかを考えたいと思います。

震災後に現れるストレス反応

今回の地震のような想定範囲を超えた急激かつ衝撃的な出来事を経験、あるいは見聞きすると、強い精神的ショックを受けたり、身体にストレス反応が現われたりすることがあります。これらの反応は、異常な出来事に遭遇したときの、いわば「正常な反応」と言えます。ただし、これらの反応は時間とともに薄れていき次第に「過去」になっていきます。1カ月以上たっても昨日のことのように不安に感じおびえている場合などは、医師に相談した方がよいかもしれません。

特に日本人の場合、和を重んじ自分よりも他者を優先することを美徳とする傾向があり、自分の辛さを奥に押し込めてしまうようなこともよくあります。すべての方が不調をきたす訳ではありませんが、出来事が起こって少し経ってから影響が出始める方もいます。震災後、人に対して思いやりを持ってよく働いていたような方が、口数が減ったり元気がなくなったように見えたりする場合には、少し注意が必要です。上記のことに留意しながら体調を気遣うような声かけをしてみましょう。

組織としてのケアは?

皆様の組織では今回の震災後、どのような措置をとられたでしょうか? もちろん被害の大きかった東北地方の関係会社の有無など、各企業によって状況は異なるでしょうが、従業員の安全確保や事業継続について等、対応に追われていたことと思います。震災後の組織対応次第で、「この会社でよかった」という声や、逆に「会社にとって自分は歯車の一つでしかない・・・」という悲しい声も聞こえ、従業員の帰属意識にも影響を与えているようです。今は従業員の心情を気遣い柔軟に対応することが、従業員の不安軽減や士気の低下防止につながると思われます。社内ではこれまでの人間模様などさまざまあるでしょうが、この状況だからこそ、協力し合う体制を作りたいものです。

弊社では、従業員一人一人に起こりうるストレス反応についてまとめた文書を電話相談のご契約先に対し送信しました。一人暮しをしている若手の社員からは、「こういった一報があると、なんとなく一人でドキドキしていたのが自分だけではないとわかった」「対応してくれるところがあるとわかるだけで少し安心できる」という声があったとお聞きしています。

「孤立」は不安を増大させます。物理的に人がそばにいたとしても、その人が自分に関心を示していなかったら、心理的には「孤立している」といえるでしょう。日々、交通事情や停電等、いつもと違う状況では疲れるのも当たり前、ちょっとした「大変さ」でも口に出して話をするだけで、少しほっとしたりします。今しばらくは、仕事に関係ないことでも管理職が意識的に声をかける等、この状況だからこそ作り直せる関係があるかもしれません。

また、電話相談など従業員の不安の受け皿となるリソースをお持ちの会社の場合、それを再周知することや、ストレス反応についての心理教育を行う等「組織として対応する意思がある」ことを伝えることが大切です。加えて何に困っているか、どういった措置が必要かの声を現場から吸い上げ、どんな対応ならとれるかを柔軟に一緒に考え「一人ではない」と感じられることが組織にできる最も重要なケアかもしれません。

(2011/04/25)

ページのトップへ

関連サービス
  • EAP
    従業員のこころとからだの健康をトータルで支え、よりよい職場づくりをサポートします
  • MOSIMO
    メンタルヘルス不調者が長期休職したときの企業のコストを試算するこができるツールです

ページのトップへ

ページ上部へ戻る