2011年10月(vol.24):大酒飲みとアルコール依存症の違いはなんでしょう?

 

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質問:大酒飲みとアルコール依存症の違いはなんでしょう?

『大酒飲みは酒が好き。アルコール依存症ってアル中のこと?』 『アル中って手が震えるアレでしょ?』 『自分で量をセーブできないのがアル中?』 皆さんだったらどのように答えますか? 弊社のメンタルヘルス研修では、アルコール依存症の病態そのものを詳しくお伝えすることが主目的ではないので、『飲酒により社会生活、家庭生活、心身の健康に支障をきたしている状態』と簡単に説明しています。ちなみに『アル中=アルコール中毒』は飲酒により中毒を起こしている状態を指していて、アルコール依存症とは異なります。では、大酒飲みとアルコール依存症の違いとはなんでしょう?

そもそも「依存」とはなんでしょう?

アルコールは合法ですが薬物ですので、アルコール依存症は薬物依存症ということになります。大酒飲みとアルコール依存症の違いは、『依存が形成されているか否か』と説明できそうです。わかりにくいですね。そもそも依存とはなんでしょう。ここでは精神依存と身体依存という言葉を使って説明してみたいと思います。

  • 精神依存

精神依存とは、飲酒への強い欲求のために、飲酒を意志でコントロールできないような強迫状態を指します。手に入らないと強い不安やアルコールに対する激しい欲求を感じます。大型の台風が近づいていて、警報が出ていても、遠くの酒屋まで買いに行かずにはいられないような状態といえばイメージがわきますね。お酒が好きな私はそれに近い感情に駆られることがあります。軽い精神依存状態といえるかもしれません。

  • 身体依存

身体依存とは、酒を飲まないことにより、身体的異常を生じる状態を指します。これを禁断症状や離脱症状と呼びます。先ほどの手が震えるというのは離脱症状の一種です。変な虫が見えたり、人の声が聞こえたりする、といった幻覚・幻聴が生じることもあります。身体依存が形成されているということは一定期間、相当量の飲酒をしていることになります。体内にアルコールが入っている時間が長くなるということです。そうすると、身体が逆転現象を起こします。要するに、『アルコールが体内にあるのがワタシの普通の状態だ』と身体が勘違いするということです。身体依存の状態になってしまうと、飲みたい、飲みたくないという意志の問題ではなく、身体が欲してしまいます。そうなると意志の力で節酒することは難しいといわれています。肝硬変を起こしてしまったり、命にかかわる危険な状態に陥ってしまうこともめずらしくありません。

理屈っぽくなりますが、『大酒飲みとアルコール依存症の違い』とは、『依存が形成されているか否か』であり、『依存が形成されていない』という状態は、『精神的には飲酒欲求はあるものの、強迫的とまではいかず、かつアルコールが体内から抜けた状態のとき、離脱症状等がないこと』、といえそうです。

アルコール依存症は『否認の病』

とはいえ、安心するのはまだ早い。アルコール依存症は『否認の病』ともいわれています。つまり、現実には(あるいは周囲から見て明らかに)依存が形成されているにもかかわらず、本人はそれを認めたがらない、認めようとしないというケースがとても多いのがこの病気のこわいところです。周囲に、問題飲酒をかかえている人がいたり、多少なりとも自覚のある方は、まずは専門家の力を借りることをおすすめします。

よい飲み方、悪い飲み方 ~依存症にならないためには~

アルコール依存症の診断方法や治療法は別の機会に譲るとしまして、最後にお酒と楽しく付き合う方法について考えてみたいと思います。いい換えればアルコール依存症にならないためにはどうしたらよいか、ともいえるかもしれません。

酒を飲むことは私たちにとって、ポピュラーなストレス発散方法ではないかと思います。心がけていただきたいのは、ストレス発散方法を飲酒だけに限定せず、いろいろな方法を試す、ということです。今日はムシャクシャしたから、スカッとしたくて酒を飲む、明日もイライラしたから酒を飲む。明後日も・・・。これが続いてしまうと、酒を飲まないとスカッとしなくなります。本来スカッとする、またはストレス解消となるようなものは他にもあるはずですが、連続することで、依存が形成されやすくなってしまいます。『人間、クセの生き物です』と私は説明しています。では何をしたらよいか? なんでもいいから別の手段を試してみていただきたいのです。試してみて、スカッとしない、またはストレス解消できないと思ったら別のことを試してみる、この繰り返しでストレス解消法の引き出しを増やしていってください。

私も過去に大酒を飲んで失敗したことがあります。ある日目覚めたら枕元に自転車があったり、ヒザに青アザができていたり、知人との間にヒビが入ったり・・・(泣)。ぜひ楽しくお酒と付き合っていただきたいものです。

(2011/10/03)

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