2012年7月(vol.30):オンサイトカウンセリングの活用方法

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オンサイトカウンセリングの活用方法

オンサイトカウンセリングとは、皆様の会社内の会議室などを即席カウンセリングルームとしてご用意いただき、そちらへ心理職が定期的に出向き、従業員様のご相談を受けるサービスです。

オンサイトカウンセリングのメリットは、お忙しい方でも、業務の隙間時間を利用して、距離的・心理的ハードルを感じず気軽に来談いただけることです。そのため、問題を放置することなく早期発見・治療に繋がりやすくなります。

ただし、カウンセリング目的に設計された環境ではないため、出入りの際の周囲の目が気になったり、隣室の会議の声やこちらの会話が漏れるのではという心配があるため、少々工夫が必要です。人目に付きにくい部屋の確保、入口にパーテーションを立てる、会話を阻害しないリラックス系BGMをかける、次の予約の方と鉢合わせにならないよう待合スペースをつくる等、人事・産保スタッフの方々と知恵を出し合いながら、ご相談者が集中し安心して相談できる空間を提供できるように努めています。

オンサイトカウンセリングの使い方は企業によって様々ですが、大きく分けて、セルフケアとラインケアの二つに分かれます。

セルフケアとしてのオンサイトカウンセリングの役割

昨今、TVや雑誌でうつのトピックが盛んに取り扱われ、また社内メンタルヘルス研修が一般的になったことで、早期段階で「最近いつもの自分とちがうので心配…」と、カウンセリングに来ていただくケースが増えています。

カウンセリングの大まかな流れとして、第一に症状や緊急性のアセスメントを行い、必要であれば医療に繋げます。必要がない場合、その方の相談に耳を傾け辛い気持ちに寄り添います。必要に応じて心理教育やセルフケアのアドバイスをし、問題を明確にした上でご自身はどうなりたいか解決像を考えていただくこともあります。また行動変容の一歩として、今日からできることを具体的に決めて実行し、次回のカウンセリングにレポートいただくこともあります。カウンセラーは社外の者ということもあり、相談内容は職場の問題に限定せず、家族、キャリア、恋愛、性格の問題など多岐にわたります。

特に産保スタッフが常駐していない事業所での役割は大きいと感じます。時間やルールなど相談者を守るための枠組みを設けつつ、いつでも相談できる駆け込み寺的な機能をはたしています。現に、カウンセリングの終結回には「社内にカウンセラーさんがいて、何かあったら相談できると思うだけでも安心です」と言う方が多く、お守り的な存在になっているようです。

セルフケアの場合、基本的に自傷他害等の緊急時以外は相談内容の開示をしませんが、ご本人の体調不良がハラスメントや過重労働など業務起因である場合、通勤や業務に支障をきたすほどの体調と判断した場合は別です。ご本人に理解いただいたうえで人事や産保スタッフに情報連携し、会社の安全配慮義務を果たすため、実質的な対策を練り改善に向けて実行していただきます。このような情報連携は会社外で実施される個人カウンセリングではほぼ不可能です。カウンセリングを『オンサイト』にすることで会社側の人間とカウンセラーがスピーディーに連携でき、それによって命が救われたケースをこれまでに私自身いくつも経験してきました。

ラインケアとしてのオンサイトカウンセリングの役割

体調不良から人事担当者や上司に相談に行くよう勧められたり、社内で問題行動を起こされて連れられて来るケースもあります。セルフケアのような自主的来談ではないため、初めは期待値や積極性が薄いことがありますが、丁寧にラポールを築き、本人と会社双方にとってのメリットは何か着地点を一緒に探り、それが明確になるとカウンセリングが一気に進むことがあります。

また、メンタル不調の従業員対応にお困りの人事担当者や産保スタッフのご相談の場としても機能します。基本的に人事担当者や産保スタッフは一人でケースを抱えていることが多いかと思います。復職判定などの会社が下す大きな決定以外は、日々、自己判断で不調者・休職者対応をされ、常に「メンタルの専門家でない自分が勝手に判断して動いていいのか…」と葛藤し、不安を抱えている印象があります。そのような時に、労いの言葉をおかけし、支援者仲間として同じ目線でケースを考え、更に専門家としてアドバイスをさせていただくことで、人事・産保スタッフの方々はホッと安心されることが度々あります。

これ以外に、社内での事件・事故、震災後の惨事ストレスケアとして被害・被災された従業員様を対象に出張カウンセリングをすることもあります。また、最近ではお客様相談室など高ストレスを伴う部署や『新型うつ』予防のための若手社員を対象とした定期オンサイトカウンセリングなど、従来のような相談者が来られるのを受け身的に待つカウンセリングとは違い、ラインから働きかけるオンサイトカウンセリングサービスのご要望を企業様からいただきます。

このようにオンサイトカウンセリングの活用方法やスタイルはひとつに留まりません。御社の課題、体制、文化にうまくフィットする新たなオンサイトカウンセリングの形があるはずです。今後のメンタルヘルス対策を練る上で参考にしていただければ幸いです。

(2012/07/11)

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