2013年3月(vol.38):心を強くするための二つの方法と一つのヒント

 

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心を強くするための二つの方法と一つのヒント

主張が激しい人は心が強いとは限らない?

心が強い人と聞くと、どんな人を思い浮かべるでしょうか。声が大きく、自己主張が強く、部下にはハッパをかけ、アフターファイブは居酒屋で仲間と熱く語り合う。上司にもはっきりモノ申し、顧客や関連部署とも丁々発止でやりあう。例えばそんなイメージでしょうか。

しかし、主張が強い人が必ずしも心が強いとは限りません。それはなぜでしょうか。今回は、心理学の世界で、心の強さについてどんなことがわかっているかについてお話します。

「レジリエンス」の概念

心理学では、心の強さを“レジリエンス(resilience)”という概念で捉えています。もう少し詳しく言うと、逆境にあっても、自分と周囲への信頼を維持し、将来よくなる可能性を信じて対処し、克服していける能力です。心の「弾力性」や、「回復力」などとも呼ばれます。「しなやかさ」という言葉が使われる場合もあります。

困難な状況に対処するためには、主張していくことも必要なので、レジリエンスが高い人は適切に主張することができます。しかしそれだけでなく、逆境を克服しながら自分自身が成長できるという特性も持っています。ただ主張が強いだけ、周囲を攻撃するだけで、自分を変えようとしない人は、レジリエンスが高いとは言えないのです。

また、レジリエンスが高い人は、周囲との関係の持ち方が良好で建設的であるということもわかっています。ここで言う周囲とは、必ずしも仕事上の関係者だけではなく、家族や友達などのプライベートな関係も含みます。

レジリエンスを高める2つの方法

レジリエンスの高さは、幼少時の養育のされ方と関連があると言われています。「それじゃあ手遅れか」と肩を落としたあなた。ご安心ください。大人になってからも、レジリエンスを高めていくことはできます。トレーニング方法をここで全て解説することはできませんが、二つの方法をお伝えしましょう。

一つ目は、「状況を分析し、自らの行動で変えられるところを見つける」ということです。“分析する”とは、「上司が一方的で無責任だから、いつも自分がその尻拭いをしなければならない」というような、不満を並べることとは違います。具体的な行動まで噛み砕いて、上司はどう行動し、自分がどう行動して、どのようにこの状況が構成されているのか客観的に捉えるということです。その中には、自分の行動によって悪い状況が継続したり、更に悪化している部分があるはずです。自分の悪い部分を受け入れるのは不快なことかもしれません。しかし、自分の修正点を見つけられる人こそが、成長につながる変化をうみだすことができるのです。

二つ目は、「レジリエンスを“個”の力でなく、ネットワークの力として捉える」ことです。全てを自分で解決しなければならないと考える人は、逆境に対して脆弱です。そして、ネットワークは普段から作っておく必要があります。このネットワーク構築の上手さこそが、レジリエンスが高い人が周囲との関係が良好である理由です。周囲との間に、良好で適度な、“頼り頼られ”の関係を築いておくことが、レジリエンスを高めることにつながります。

ヘレン・ケラーの言葉の中にあるレジリエンス向上のヒント

「ひとつの幸せのドアが閉じる時、もうひとつのドアが開く

しかし多くの場合、閉まったドアばかりに目を奪われ、開いたドアに気づかない」

“When one door of happiness closes, another opens;

But often we look so long at the closed door that we do not see the one

which has been opened for us.”

これはヘレン・ケラーの言葉です。この言葉は、逆境に陥った時、私たちは、失ったもの、うまくいかないことにばかり目を奪われがちだけど、そこには必ず成長のチャンスが隠れており、新しい自分へのドアが開かれている、と解釈することができます。逆境の中にはポジティブな側面、チャレンジの側面が必ずあると、ヘレン・ケラーは言いたいのではないでしょうか。

重い障害を持ちながら社会貢献に生きた彼女は、とてつもなくレジリエンスが高い人だということは疑いようがありません。ヘレン・ケラーには及ばなくても、もうひとつのドアを探す努力は、ぜひしてみようではありませんか。

(2013/3/13)

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