2013年10月(vol.45):仕事で得られる報酬とは

 

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仕事で得られる報酬とは

人事を担当されている皆様は、内的報酬と外的報酬についてご存知の方も多いと思います。簡単に言うと、外的報酬は他との比較による相対的なもので外から与えられるもの、例えば給料、ボーナス、地位などがあります。それに対し内的報酬は、比較は関係なく、人が自分の皮膚の内側で感じるうれしいこと、例えば「達成感」「成功感」「満足感」などです。

先日、こんなことがありました。私は10年前、京都の製薬会社でMR(医薬情報提供者)をしていたのですが、その時に担当した医師でとても勉強熱心な先生がいらっしゃいました。60歳近い年齢でしたが、The LancetやThe New England Journal of Medicineといった医学専門誌をよく読み、気になる講演会があれば自費で東京まで行かれる、という方でした。その常に勉強し続ける姿勢と謙虚さから、私は先生をとても尊敬し、地道な情報提供活動を3年間続けました。そして先日、先生から長文の手紙をもらいました。最近は年賀状でのやりとりだけとなっていましたので、突然何事かとびっくりしましたが、NHKの山の番組を見ていたら、当時スノーボードや山が好きだと話をしていた私を思いだした、ということでした。それから、薬の話の最後にしていたちょっとした話、先生が本当は星が好きで、地学を専攻しようかそのまま医学部に進もうか迷うほどだったことや、歴史も好きな方だったので、私の出身地である新潟県長岡市から出た山本五十六の話など、様々な話が懐かしさとともに書かれていました。先生の記憶力に驚くとともに、「一生懸命やっていてよかった」という、とても心温まる経験をしました。“一生懸命やっていれば、どこかで誰かが見てくれている”、私にとって10年越しの内的報酬でした。

様々な研究者が主張していますが、モチベーションを維持していくには内的報酬と外的報酬のバランスが大切です。長い不況の影響もあり、外的報酬となる給与を上げていくのが難しい状況の中、内的報酬に注目せよとする意見もよく目にします。私自身、コーピング研修の講師を務める時は最後に、ストレスの対処スキルとともに内的報酬があることがストレス耐性をあげることにつながるため、会社で先輩から後輩へ内的報酬も伝承してほしいと話してきました。

しかし、様々な企業や友人の話を聞いていると、現実場面では、「普通に説明すればよいところを余計な一言をつけ、やる気を失わせる。そして肝心なところの説明がない」「そもそも上司に基準も優先順位もないから、聞いたところで説明も判断も得られない。聞くだけ無駄」といった上司にイライラさせられるという状況がよくあるようです。努力しても報われない職場だ、という声もよく聞きます。そして、「仕事とはそもそも辛いもの、面倒なもの」と言われます。大半の管理職は違うと思いますが、このような上司にあたってしまった場合、職場では内的報酬にも期待がもてません。是非そこで終わらせず、厳しい現状だからこそ少しでも楽しめるように、仕事にまつわる「よかったな」と思える面白さを見いだし内的報酬を得られるようにしたいものです。

また、今回の私自身の経験から、自分の身の周りの出来事から内的報酬を得られるように、自分でモチベーションが維持できるように働きかける方法もあるのではないかと思います。上司に頼らずとも、各個人が自立・自律し、顧客や周囲の人との関わりから、体験を内的報酬として感じられる土壌作りを早めにしておくことが、これから先を考えると重要なのではないでしょうか。ストレスだと感じるような難しい場面に出くわした時、諦めるのではなく積極的に一歩でも前に進めることで感じられる達成感や充実感があるということを、今だからこそ若手社員に知ってほしいと思います。そういった力を育てるためには若手社員へのコーピング研修(ストレスへの対処法)が有効と考えられます。また、育てる側が諦めていたらどうにもならないことは明白であり、管理者教育が重要なのは言うまでもありません。しかし同時に、若手が将来よきキャリアモデルとなるよう会社として早期に教育していくことが必要なのではないでしょうか。

(2013/10/18)

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