2013年12月(vol.47):メンタルヘルス対策には組織風土の改革が必要

 

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メンタルヘルス対策には組織風土の改革が必要

組織がメンタルヘルスに取組む時

「職場のメンタルヘルス対策」「EAP」という言葉は、最近かなり浸透してきていると感じています。厚生労働省も「指針」を出しており、それに基づいて対策をとっておられる組織も多いのではないでしょうか。

メンタルヘルス対策の目標は?

よく伺うのは、「うつ病による休職をゼロにしたい」「うつ病の発生を防ぐ」という目標です。しかし、これは無理な目標です。なぜなら、うつ病の原因は分かっていないからです。「えっ!職場のストレスじゃないの?」と言われるかもしれませんが、職場のストレスは原因ではなく要因です。少し言葉の説明をすると、原因とは「これがなければ全く起こらないもの」で、要因とは「発生に関係する要素の1つ」です。うつ病の場合だと、他に家庭でのストレス、本人の性格、育った環境、病歴、性別、遺伝などの要因が考えられます。だから職場のストレスを無くしても他の要因で発生する可能性があります。では目標はどうしたら良いかというと、先ずは、

  1. 「職場が要因となるうつ病の発生をゼロにする」
  2. 「うつ病の従業員を職場で悪化させない」

と設定するのが適切だと思います。この目標を実行するためには、4つのキーワードがあります。

職場が要因となるうつ病の発生をゼロにするためには?

職場が要因となるうつ病の発生をゼロにするために重要なことは、①過重労働対策 ②ハラスメント(パワハラ、セクハラ)対策、を組織ぐるみで徹底するということです。厚生労働省が公表している「業務による心理的負荷表」という資料があります。これは精神障害(いわゆる心の病)を労災認定するかどうかの基準となるものです。なかでもウェイトを占めているのが過重労働とハラスメントです。このことからも、2つの対策が重要であることがわかります。

過重労働に関して人事や現場管理職の方から聞く言葉は、「こういう業態だから仕方がない」「最近の若い者は弱い」などです。ハラスメント対策に関しても同様のことが言えます。「風土だから変えられない」「あの管理職の指導は厳しすぎると思うが、会社にとっては重要な人物なので・・・」など。共感できることが多々ありますが、理由はどうあれ、必要なことは「今の状況を変えること」なのです。

うつ病の従業員を職場で悪化させないためには?

まずは先ほどの過重労働対策、ハラスメント対策がおこなわれることが必須条件です。それに加え、③管理職のマネジメント力が必要です。なぜならば、うつ病をはじめとする「心の病」は、総じて「自己管理力(セルフマネジメント力)」が低下するからです。病が原因で、どうみても「働ける状態じゃないのに出勤して職場で寝てしまう」「無断欠勤、遅刻を繰り返す」といった状況が起こりえます。その場合は、管理職が職務権限もしくは、指導的立場で「休養し治療に専念させる」ことが必要になります。また、他の従業員が「自分たちは一生懸命カバーしているのに、なぜメンタル不調者は優遇されるのか?」と訴えてくるかもしれません。管理職は不調者だけではなく、周りの従業員のことを考えながら業務を遂行しなければなりません。メンタルヘルス研修において、管理職の傾聴やカウンセリングマインドが強調されていますが、プラス、上記のマネジメント力が必ず求められると思います。当たり前の話ですが、その背景として④労働法の知識が必要となります。

まとめとして

よく職場のメンタルヘルス対策として「管理職のメンタルヘルス研修」を実施される組織が多いですが、そこで終わってしまう場合も少なくありません。もちろん管理職の意識を変えるという意味では効果的ですが、「職場が要因となるうつ病の発生をゼロにする」「うつ病の従業員を職場で悪化させない」という目標を達成するにはもう一歩力が及ばないですし、逆に生真面目な管理職の負担が増えてメンタル不調になるかも知れません。実際、長時間労働が恒常化している企業の現場管理職が、「自分の方が心の病になりそうだ」とお話になる場合が良くあります。

職場のメンタルヘルス対策には、包括的かつ継続的な組織ぐるみの取組みを行い、「組織改革」「企業の風土改革」に努める必要があると感じています。

(2013/12/13)

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