2018年12月(vol.107):自分の性格 変えられますか!?

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「私はこのネクラな性格が嫌いです。どうにか変えたいんです」と、ある方からご相談を受けました。自分の性格について悩んでいる方は、意外と多いのではないでしょうか。今回は「性格」をどう考えるかについて、述べてみたいと思います。あまり難しい話はしませんので、気楽にお付き合いください。

性格はどのように形成される?

まずは、自分の性格に関する質問から。

・あなたはどんな性格ですか?
・あなたは自分の性格が好きですか?

さて、いかがでしょう? 自分の性格をしっかりと把握されているでしょうか?

「性格」を辞書で調べると、①行動の仕方に現れる、その人固有の感情・意思の傾向、②特定の事物にきわだってみられる傾向、と書かれていました。性格には、「気質」と呼ばれる生まれつきの部分と、その後の環境で後天的に備わるものがあると考えられます。後天的なものとしては、環境によって身につく「社会的性格」、現在の役割に応じた「役割性格」といった考え方があります。

「気質」は「体格」と関係?

性格に関してはさまざまな研究がありますが、ドイツの精神医学者クレッチマーは、体格と気質には相関があるとし、3つの類型で説明しました。

・やせ型:分裂気質⇒ 物静か・非社交的
・肥満型:循環気質⇒ 社交的・温厚・基本的に明るいが時に落ち込む
・筋肉質:粘着気質⇒ 頑固・粘り強い

これだけみると、体型が変わったら性格まで変わるのかという別の疑問が出てしまいそうです。たとえば、肥満気味の人が”コミット”して筋肉ムキムキになったら性格まで変わるのでしょうか? 確かに、トレーニングを積み重ね、立派な体つきになったら自信がつき、粘り強くなりそうな気もしますが…。

生まれ持った「気質」は変わりにくいと言われますが、当然ながら単純な3つの類型だけで説明することはできません。やせ型、肥満型、筋肉質をどう定義するかも簡単ではなく、中間のタイプが存在するはずです。ここでは、そういう考え方があるという程度にとどめておきます。

「社会的性格」と「役割性格」

話を変えて、同じ日本人でも海外生活が長い人は、どこか違うなと感じることがあります。逆に、日本人以上に日本人らしい外国人をテレビでみかけることもしばしばです。同じ人でも日本にいれば日本人らしく、海外で生活すればその国の人のように考え、行動する傾向が強くなります。このように、その時代、その社会で生活することで身につくものは「社会的性格」と呼ばれ、変化しやすい部分とされます。

性格形成に関係して、後天的に備わるもう1つが「役割性格」です。私たちは置かれた立場によって、さまざまな役割をこなしています。新入生は新入生らしく、後輩ができれば先輩らしく振る舞います。白衣を着ると先生らしく、スーツを着ると会社員らしく見えるものです。みなさまも服装によって立ち居振る舞いだけでなく、気持ちまでが変わった経験はないでしょうか。

私自身は、新宿歌舞伎町の居酒屋でアルバイトをしていた時のことを思い出します。居酒屋で制服を着て働いていると、抵抗なく汚れたトイレ(酔っ払いの落し物)の掃除ができてしまうので、かなり不思議な気持ちになりました(汚い話で恐縮です)。仕事だから当たり前なのですが、自分でも驚くほど抵抗なく掃除をしていました。これも役割性格のなせる業のようです。もっと日常的な例では、メイクの仕方次第で自信が持てたり明るくなれたりということは、実感されている女性も多いのではないでしょうか。

「役割」と性格の相関については、心理学実験としてスタンフォード大学で行われた監獄実験をモデルとした映画が思い出されます。普通の人々に看守と囚人という役割を与え、刑務所に近い設備で役割を演じてもらうのですが、次第に理性の歯止めがなくなり、暴走して実験を中断する結果となります。詳細は割愛しますが、力を持つ看守「役」が、力を持たない囚人「役」を過度に虐待する事態が起こります。私は興味本位で観たのですが、なかなか怖い映画でした。

よりよい自分になるために

性格はその人がもともと持っている気質の部分と、社会的性格、役割性格など後天的に備わるものがあるという考え方をご説明しました。他にも経験を積むことで行動を学習していく理論など、人の性格や行動はさまざまな立場や角度から考えられています。

私は、性格はその人が変えようと努力すれば変えられると考えています。特に社会的性格や役割性格など、後天的に備わるものに関しては、自分を変えるチャンスが多くあるのではないでしょうか。たとえば、仕事上の役割がきっかけになることもありますし、昇進したことで部下を持ち、責任ある行動を求められるようになることもあるでしょう。子供が生まれて親になった、憧れの人や目標としている人をまねすることで視点や考え方が変わった、海外留学や転勤などで別の文化に触れて視野が広がった、などといったことも考えられます。

コップに半分入っている水を、「半分しかない」と捉えるか、「まだ半分ある」と捉えるかという話を聞いたことがないでしょうか。同じように「降水確率30%」は、「雨が降らない確率70%」です。当たり前のことですが、考え方、解釈の仕方で受け取る印象は変わるものです。よく言われる「ネクラ」といった表現は、その方に対する一面的な見方でしかありません。他面から見れば、「楽観することなく、物事のデメリットも考える慎重な性格」という言い方もできると思います。

このような視点の枠組みを変えることは「リフレーミング」と呼ばれ、認知行動療法のカウンセリングなどで使われています。自分に対しても、見方を変えて(リフレーミングして)、「私の性格にはいいところもあるな」と気づくことができれば、あえて性格を変える必要はないとも言えそうです。性格を変えたいと思う場合も、「嫌いな自分を変える」という発想ではなく、「今のままの自分もアリ(好き)だけど、よりよい自分になるために」という発想でお考えいただければと思います。

最後にもう一度質問です。

・あなたはどんな性格ですか?
・リフレーミングして視点を変えるとどんな言い方ができますか?

(2018/12/20)

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