お知らせ

「新型コロナウイルスに関連した感染症」情報
―新型コロナウイルス感染症対策の基本方針について―

2020年2月26日版

新型コロナウイルス感染症対策の基本方針

内閣総理大臣を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」は、「新型コロナウイルス感染症対策本部」による医学的見地に基づく助言を受け、2020年2月25日に『新型コロナウイルス感染症対策の基本方針』を公表しました。
今は、国や地方自治体、医療関係者、事業者、国民が一丸となって、新型コロナウイルス感染症対策を更に進め、今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で極めて重要な時期であるとしています。企業に対しては、社員に発熱などの風邪の症状があれば休暇取得を勧めるよう要請し、企業や自治体等イベント開催者対しては、感染の広がりや会場環境を踏まえて開催の必要性を再検討することを要請しました。しかし、イベント開催有無の判断基準は示されず、また全国一律の自粛要請でもなく、企業や自治体にその判断が委ねられています。
以下、『新型コロナウイルス感染症対策の基本方針』の概要をまとめました。

▼現在の状況

●対策の要は水際対策であったが、感染経路が明らかではない患者が散発的に発生し、小規模患者クラスターが把握されている。
●感染の流行を早期に終息させるためには、クラスターが次のクラスターを生み出すことを防止することが極めて重要である。
●患者増加のスピードを可能な限り抑制することは、今後の国内での流行を抑える上で重要である。
●国内で患者数が大幅に増えた時に備え、重症者対策を中心とした医療提供体制等を整える必要がある。

▼対策の目的

①患者の増加のスピードを可能な限り抑制、流行の規模を抑える。
②重症者の発生を最小限に抑える。
③社会・経済へのインパクトを最小限にする。

▼現時点で把握している事実

感染経路:感染経路は飛沫感染、接触感染であり、空気感染は起きていない。ただし、閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する環境では、咳やくしゃみ等がなくても感染を拡大させるリスクがある。
感染力:特定の人から多くの人に感染が拡大した疑い事例がある一方、多くの事例では感染者は周囲の人にほとんど感染させていない。
症状:発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多い。また、季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例がある。
病原性:罹患しても軽症で治癒する例も多い。重症度としては、致死率が極めて高い感染症ほどではないものの、季節性インフルエンザと比べて高いリスクがある。特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高い。
治療法:有効性が確認された抗ウイルス薬がなく、対症療法が中心である。現在のところ、迅速診断用の簡易検査キットがない。一方、他のウイルスに対する治療薬等が効果的である可能性があり、現在治験を進めている。

基本方針の重要事項

○国民の対応

・手洗い、咳エチケット等の徹底。
・発熱等の風邪症状が見られる場合の休暇取得、外出の自粛。
・事前相談せずに医療機関を受診しない。

○企業・学校などの対応

・発熱等の風邪症状が見られる職員等への休暇取得の勧奨、テレワークや時差出勤の推進。
・イベント等を主催する際には、開催の必要性を改めて検討。

○政府による適切迅速な情報提供

・国民、諸外国及び外国人旅行者への適切迅速な情報提供を行い、国内での感染拡大防止と風評対策。

○ウイルス検査

・現時点では医師が必要と判断すればPCR検査を実施。患者数が増えた地域では、重症患者のみをPCR検査で確定診断。

○患者クラスターの把握と感染拡大の防止

・確認された患者クラスターに関係する施設の休業やイベントの自粛等の必要な対応を要請。
・高齢者施設等における施設内感染対策を徹底。
・公共交通機関、道の駅、その他の多数の人が集まる施設における感染対策を徹底。
・地域で患者数が増えた場合、積極的疫学調査や濃厚接触者に対する健康観察は縮小し、広く外出自粛の協力を要請。

○医療提供体制

・地域で患者数が増えた場合、一般の医療機関で診療時間や動線を区分したうえで診療。診察を行わない医療機関を事前に検討。
・風邪症状が軽度であれば、自宅での安静・療養を原則。状態が変化したら、相談センターやかかりつけ医に相談の上で受診。
・風邪症状のない高齢者や基礎疾患のある患者には、電話による遠隔診療で処方箋を発行。

本日の用語解説

新型コロナウイルス感染症対策本部

新型コロナウイルス感染症について、政府としての対策を総合的かつ強力に推進するため、内閣総理大臣を本部 長として内閣に設置した対策本部。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/konkyo.pdf(首相官邸HP)

新型コロナウイルス感染症専門家会議

新型コロナウイルス感染症対策本部の下、新型コロナウイルス感染症の対策について医学的な見地から助言等を行うため開催する専門家会議。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/senmonkakaigi/konkyo.pdf(首相官邸HP)

(公衆衛生上の)水際対策

軍事用語で海上から攻めてくる敵を水際で全滅させることから転じて、病原菌や害虫を国内に入れないよう防ぐこと。新興の感染症が国外で発生した際に、感染者が入国しないように、港・空港での検疫を強化し、感染者を隔離するなど初期段階での迅速な対処、初動対応が重視される。ただし、水際対策で完全に防ぎ切れるわけではなく、国内感染が広まるまでの時間をできるだけ先延ばしし、時間稼ぎをすることに意義があるとされている。そうすることによって、医療提供体制や法制度の整備、治療法や薬・ワクチン等の研究開発等に時間を割け、本格的な国内流行に備えることが可能になる。

クラスター

一定の感染経路でつながりのある患者集団のこと。学校や多数の人が集まるイベント、集会等がクラスターになり得る。クラスターの感染者が移動先で新たなクラスターを作り、次から次へとクラスターの連鎖により感染が拡大する。次のクラスターを生み出すことを防ぐことが重要な感染拡大防止対策になると考えられている。

監修:寺下 謙三(寺下医学事務所 代表)

参考

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