お知らせ

「新型コロナウイルスに関連した感染症」情報
―『日常生活での免疫』と『サイトカインストーム(免疫暴走)』の違いについて―

2020年5月21日版

厚生労働省は2020年5月18日、重症化に関連があるとされる「血栓症」への対応について、新型コロナウイルスに対する医師向けの診療の手引きの改訂版を公表しました。血栓症については、『サイトカインストーム(免疫暴走)』との関連を示唆する論文が出てきています。今回は、混同しやすい『日常生活での免疫』と、感染後の『免疫暴走』の違いについて解説します。

日常生活での免疫とは?

一般に言う『免疫』とは、細菌やウイルスなど外から侵入してくるものや、体内で発生するがん細胞などから身を守る体内の自己防護機能のことです。
細菌やウイルスなどが外から侵入してきてもすぐに発症しないのは、この『免疫』機能がきちんと働いているからです。この免疫機能は、私たちの体内にある免疫細胞(白血球の仲間)が担っています。この免疫細胞が正常に機能するためには、自律神経系の働きが保たれていることが大切です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は、血圧や血糖を上げ、血液を筋肉や脳に集めて全身の活動力を高めるため、主に日中、活動している時に優位になります。副交感神経は、逆に体を休めているときに優位になります。この交感神経・副交感神経を正しく保つには、朝起きて、夜眠るという生活リズムを保ち、食事・運動・睡眠などの生活習慣を整えることが重要になります。
要するに、正しい生活習慣を保つことが、外部からの細菌やウイルスなどから身を守る『免疫』機能を正しく働かせることにつながるのです。

サイトカインストーム(免疫暴走)とは?

サイトカインとは、細胞から放出される伝達物質で、特に免疫に関連するものが重要です。感染した際に放出され、体中の細胞に感染による炎症等を抑える命令を伝達するなど、様々な役割を担う多くの種類のサイトカインがあります。体内に侵入した細菌やウイルスをやっつけようとするあまりサイトカインが過剰に反応し、まるで暴走するようにみえるのでサイトカインストームと呼ばれています。
今回、新型コロナウイルスの患者が重症化するメカニズムとして、いくつかの論文が発表されています。その中で、感染による炎症の広がりに伴い、免疫の働きを高めるサイトカインが“暴走”を起こし、正常な細胞も攻撃して、かえって炎症が広がり重篤化する可能性が推定されています。
特に、今回の新型コロナウイルス感染症でサイトカインストームが起きて血栓症が起こり、重症化や命にかかわることが問題となっています。血栓が血管に詰まると、体内に酸素がいきわたらなくなり重症化につながると考えられています。

まとめ

日常の生活習慣(バランスの食事・適度な運動・質の良い睡眠等)で『免疫』を落とさないようにするのは発症予防にあたります。それに対して、『サイトカインストーム(免疫暴走)』が起きるのは、細菌やウイルスに感染した後のからだの反応になります。
新型コロナウイルス感染症への対処としては、『手を清潔にする(手洗い・消毒)、密を避ける、人との距離を保つ』などの感染予防をし、生活習慣に気をつけ身体の免疫をアップすることで発症を予防することが、変わらず大事になってきます。

監修:寺下 謙三(寺下医学事務所 代表)

参考

保健同人社「新型コロナウイルス感染症 関連情報 特設サイト」
https://hkd-kateinoigaku.libra.jpn.com
ページ上部へ戻る